リスク管理と目標利率

 こんにちは、シーラカンスです。

 

 台風が過ぎ、だんだん涼しくなってきました。外で仕事していて、だんだん身体が楽になっているという実感があります。やはり「暑さ」というのは危険ですね。

 

 さて、今回はリスク管理について書きます。

 

■「どれくらい殖やしたい?」を考えていますか

 まず、なぜ投資をしようと思うのでしょう?

 

 「お金を殖やしたい」

 

からですね。

運用益でウハウハ・・・憧れます 出典:いらすとや様

 

 もちろん、「この会社を応援したい」「環境にやさしい企業に出資したい」などの動機もありますが、結局のところその一点に集約されると思うんです。だってそうでしょう? 「応援したい」なら寄付をすればいいだけですから。

 

 私は「儲けたい」という動機は恥ずかしいとは思いません。当然の欲求です。

 

 ただ、私は

 

「どれくらい殖やしたい?」

 

 を考えて運用している投資家さんは少ないと感じています。

意外と少ないかも? 出典:いらすとや様

 

 なんだか、漠然と「勝った」「負けた」くらいしか考えてないといいますか、漠然と「なるべくたくさん殖やしたい!!」くらいの運用、いや、「ギャンブル」をしている人が多いと感じています。

ギャンブル? 投資? 出典:いらすとや様

 

 「投資」をしたいのか、証券市場というカジノで「ギャンブル」したいのか・・・。

カジノ・・・? 出典:いらすとや様

 

■「投資は自己責任」の重さ

 

 多くの個人投資家の場合、リスクが過大だと感じます。

 

 これも「とにかく殖やしたい」が前面に出てしまった結果だと思います。

 

 目標が定まっておらず、ただ「儲けられるだけ儲けたい」くらいの考えで投資しているために、恐ろしく危険な投資を続けてしまうのでしょう。

 

 「今すぐ儲けたい」「今すぐ結果を出したい」「もっとスリルが欲しい」・・・。

 

 うん、スケベ心全開です。欲望丸出し。正直でいいですね。

欲望は限りない 出典:いらすとや様

 

 「結果が出なければ解雇されるだけ」の機関投資家の社員と違い、「自分のお金を失う」、「借金を負う」、「破産する」、「最悪自殺に追い込まれる」ことを理解しているのか・・・疑問です。

全てを失う前に・・・どうか手法を見直して・・・ 
出典:いらすとや様

 

 「自分のお金」で投資するということは、そういうことなのです。

 

 投資をするなら、「自分の責任は自分が負う」という覚悟が必要です。

 

 すべての投資判断は、自分が下すのですから。

 

 

「頼むから投資してください」なんて、証券市場が言いましたか?

 

 

 「自分が投資したいから投資した」

 

 「投資判断は自己責任」

成功も失敗もすべて自分が負うのです 
出典:いらすとや様

 

 投資家として、これだけは絶対に忘れてはいけないと思います。

 

■「分散」がすべての基本

 「個人投資家の多くがリスクを取りすぎ」と書きました。では、どうやったらリスクを下げられるでしょう?

 

 まずは、「分散」です。

率を決めて、割り振ろう! 出典:いらすとや様

 

 おそらく、どんな投資本を読んでも書いてあると思います。それだけ重要ということです。

 

 「分散」には様々な方法があります。

 

・銘柄の分散(分散投資

・地域と国の分散(地域分散)

・業種の分散(特定業種に偏らない)

・時間の分散(毎月買い続ける・積み立て続ける)

・入金の分散(毎月の給料から入金を続ける)

・資産クラスの分散(株以外に債券、金製品、現預金の形で一部保有

「財産」はいろいろな形があります 出典:いらすとや様

 

 特に個別株をやってみたい場合、最低でも8銘柄、出来れば16~20銘柄に分散したいですね。

 

 20銘柄あれば、理論上、1社が倒産しても5%の被害で済みます。年利3%で運用できている場合、2年あれば配当から補填できる計算です。

大丈夫、被害は少ないみたい! 出典:いらすとや様

 

 ただ一方で、50社や100社などを保有するのはやりすぎでしょう。リスク分散効果よりも、管理しにくさが目立ってきますし、今度は「異変に気づけない」というリスクが出てきます。

 

 20社でも不安であったり、特に銘柄にこだわりがない場合は、ETF投資信託にしましょう。SP500に連動するものが規模が大きく、手数料も安く、おすすめです。

 

■「国債の年利」を参考に・・・

 

 次にできることは、「目標利率を決めること」です。

目標は大事です 出典:いらすとや様

 

 ここで大切なのは

 「何倍」ではなく「何パーセント」

 で目標を定めることです。

 

 長期投資を志す場合、一度買った株は基本的に売りません。じわじわ買い増しして株数を増やし、受け取れる配当を増やしていくのが基本戦術だからです。配当を長く受け取るためには巨大企業に投資することになります。

配当金を増やしていく 出典:いらすとや様

 

 そのような大きな会社は株価が安定しており、いきなり2倍とか5倍に噴き上がることはそうそうありません。そのため「株価が数倍になったら売る」という戦略はそもそも使えません。また、再現性もありません。

 

 長期投資家ができることは「配当をもらう」こと、そして「株を持ち続ける」ことだけです。

 

 さて、そこで考えなくてはいけないのが「目標利率」です。

 

 「どれくらいの配当が欲しいのか」、そして、「どれくらいのリスクを背負えるか」を決めておくのです。

 

 基本的に、年利10%といえば「危険な投資」、もしくは「詐欺」です。

 

 そんな美味しい投資があるなら財務省が放っておくはずがありません。国家事業として投資しているはずです。

 

 私は、「国債の利率」を参考にすることをおすすめします。

国債の利率、調べたことありますか? 
出典:いらすとや様

 

・日本国債10年物:0.23%

ドイツ国債10年物:2.01%

英国債10年物:3.15%

・カナダ国債10年物:3.17%

米国債10年物:3.68%

・オーストラリア国債10年物:3.95%

 

・メキシコ国債10年物:9.55%

南アフリカ10年物:10.44%

・トルコ国債10年物:11.66%

・ブラジル国債10年物:12.10%

 

 この中から国債を買う場合、安心できそうな国の利率はだいたい年利3~4%であることが分かります。「欧州の優等生」といわれるドイツで2.01%、世界一の経済力の米国で3.68%です。

 

 一方で、年利10%を得ようと思うと、政情不安定な国ばかりになります。投資するのは怖いですね。

 

■市場平均に挑む理由はありません

 「健全な投資」を目指せば利率が低くなるのは当然のことであり、何ら恥ずかしいことではありません。たまに個別株投資について「SP500に負けてる」「市場平均に負けてる」という記事をネットで見ますが、そもそも「市場平均」に挑もうとするのはなぜでしょうか?

 

 「市場平均」には、配当利回りだけでなく、株価上昇分も含みます。SP500の平均利回りが8%くらいと言われるのはそのためです。

 

 それに挑むのは無謀というものですし、意味もありません。

 

 リスク低減を目標に、利率が下がるのを承知の上で運用しているなら、それはそれで「いい戦術」だと思います。周りの雑音は聞き流すに限ります。

 

 年利が低いといっても、銀行預金の金利と比べればはるかに高利率です。

 

静岡銀行 定期預金1年物:0.002%

静岡銀行本店 出典:wikipedia

仙台銀行 定期預金1年物:0.002%

仙台銀行 出典:ビジネス+IT様

広島銀行 定期預金1年物:0.002%

広島銀行本店 出典:Wikipedia

 

新生銀行定期預金1年物:0.300%(30万円以上)

商工中金 商工中金ダイレクト1年物:0.220%(50万円以上)

 

 「年利3%」は、「地方銀行の定期預金の1500倍」です。

 

 これは、ものすごいことです。

 

 抜群に利率のいい新生銀行と比べても、その差は10倍もあります。

 

 この事実に接したとき、私は「意外といいじゃん」と思いました。

 

 

シーラカンスの目標利率

 

 私の場合、「年利3%」を目標にしています。

 

 「国債だけ買えばいいじゃん」と思うかもしれませんが、米国政府への集中投資となってしまうため、やりたくありません。やはり分散したいのです。

 

 3%という数字は、配当貴族銘柄を選んでいれば楽々達成できる数字です。無理がありませんし、株価自体の上昇で含み益も拡大します。

 

 無理をする必要がないため、危険な銘柄を選ばずに済みます。

 

 さらに分散もしていれば、全財産を失うこともありません。

 

 「年利3%」は少ないように思えますが、これは言い換えれば「33年で資産が2倍に増える」ということでもあります。また、配当金は「増配」という素敵な仕組みもあります。「複利」も考えれば、さらに早く資産が増えてくれるでしょう。

 

 時間はかかるもののほぼ確実に、かつ手堅く資産倍増が望めるなら、私はやってみる価値はあると考えます。