四季報を読んでみました

 こんにちは、シーラカンスです。

 

 この「シーラカンス財団」の記事ですが、前回の記事で150本目を迎えたようです。

すぐに飽きて更新しなくなるかな・・・と自分で思っていましたが、意外なことです。

読者の皆様、いつもありがとうございます。

 


 さて、久しぶりに「会社四季報」を買ってみました。

 

 

四季報を買いました

自分の基準に従ってスクリーニングしました

 久しぶりに四季報を買ってきましたので、自分の基準に合う銘柄をひたすら探してみました。良さそうな会社はそれなりにありましたが、なかなか納得できる銘柄はないものです・・・。

 

 日本には3900社ほどの上場企業がありますが、自分なりに「いいかも?」と思えた銘柄はわずかに70社ほどでした。

 

 

 

 今回、私が四季報を読んだ時のスクリーニング基準をお伝えしようと思います。

 

 この基準は根拠のあるものではなく、完全に私の独断と偏見と好みで決めました。「個人」投資家なのですから、自分の好きな会社を選ぶのがいいでしょう。

気に入った銘柄の例(出典:会社四季報2024年1集)

・株価が3000円以内(合計30万円)以内であること。

 どんなにいい会社だとしても、現実に買えなければ株主にはなれません。

どんなに良い会社でも買えなければ意味がない 
出典:ジョジョの奇妙な冒険

 また個人的な考え方ですが、株価があまりにも高い会社は「個人投資家に買ってほしくない」のだと解釈しています・・・だったら上場なんて辞めてしまえばいいのに。

 

 個人株主を増やしたいなら、とっくに株式分割しているはず。

 

 私の目には、株価があまりにも高い会社は「不誠実」に映ります。

 

 また、自分が何とか用意できそうなのが30万円くらいまで、という事情もあります。

 

自己資本比率が50%以上あること。

 業種によってかなりの差がありますが、自己資本比率が50%以上あると「優良企業」とされます。会社の継続性や安定性を考えると、やはり50%は欲しいところです。

 

 この基準で探すと銀行や不動産関係の会社は全滅しますが、私としては問題ありません。製造業など、他の業種はいくらでもあるからです。

 

・有利子負債が少ないこと。

 私の場合、「総資産の4分の1くらいまでかな」という感じで探しています。

 

 もちろん、「0」だとさらに良いですね。ただこの辺りは会社の経営方針にもよりますから、「無借金経営」にはこだわりません。ちゃんと返済できているならOKです。

 

配当利回り3%以上

 実は私は、日本株を米国株ほど信用していません。

 

 ある意味「米国株よりも信頼性に一段劣る株」と認識しています。もちろん、その会社で働く社員さんたちの勤勉さは信じていますが・・・。

 

 (会社がどうというよりも、不祥事の処分の甘さや日本の証券業界の未成熟が不安)

 

 そのため、日本株を持つならば米国株以上のメリットが無くては納得できません。

 

 米国優良株として有名なPG(P&G)が配当利回り2.41%と考えると、同等かそれ以上の配当が欲しいところです。

 

 また単純に、

 

 「利益が出ているのに低利回り=株主に報いる気がない」

 

 と考えるためです。それなら、頑張って配当してくれる会社を買って応援したいですね。

 

・何らかの分野・地域で強みがあること。

 私がすでに保有している株は「和歌山県でナンバーワン」「福井県で圧倒的シェア」という特徴を持つ会社です。(地方のスーパーの株を2社買いました)

 

 会社としての規模が小さくても、何らかの点で強みを持つ会社を探しています。

 

 例えば上の写真にあった「西濃運輸(9076)」であれば、「路線便で業界最大手」という強みがあります。

 

 また「岐阜県を代表する上場企業」でもあります。

 

 この会社は、「企業間物流」で絶大なシェアを持っています。

 

 国内には似たような運送会社がいくつかありますが、それぞれ特徴があります。

 

 

・個人向けに強く、信頼のあるヤマト運輸

 

・宅配と企業間物流(小さい荷物が得意)のバランスがいい佐川急便。

 

・企業間物流(大きな荷物も頼める)西濃運輸

 

・規模が大きくパレット貨物も扱える福山通運

 

・日本全国どこでも確実な配送網を持つ日本郵便

 

 「何も特徴がなく価格競争に晒される」会社ではなく、「何か尖った特徴がある」

「何かに特化している」会社を探しています。

 

キャッシュフローが健全なこと。

 一般的に、

 

・営業キャッシュフローがプラス

・投資キャッシュフローがマイナス

・財務キャッシュフローがマイナス

 

 だと健全だと言われています。

キャッシュフローの早見表 出典:doda

 私はこれを最も重要視し、四季報の「キャッシュフロー」欄が

 

 「+・-・-」

 

 でない会社は容赦なく弾きました。四季報を読んでいるとたまに、

 

 「上場していて恥ずかしくないのかこの会社」

 

 というページを見ることがあります。やはり、自分でしっかり財務状況までスクリーニングするのは大事だと確信しました。

 

 私の場合はさらに、

 

 「投資CFと財務CFの合計」よりも「営業CF」の方が上回っている

 

 会社に絞って探しました。これには根拠はありませんが、「その年の本業の稼ぎで投資も借金返済も出来ているならなお良し」と考えたためです。

 

■結局70社ほど残りました

 厳しいスクリーニングの結果、70社ほどが残りました。上場企業が3900社だとすると、約1.79%まで厳選できたことになります。

 

 ここからさらに

 

配当利回りが3%に達していなかった会社

・IT企業(自分が理解できない分野のため、事業の良し悪しが分からない)

・朝10時の時点で出来高が1万株以下だった会社

・過去5年間に1回でも赤字があった会社

・他の大企業が大株主になっている会社(親子上場の状態)(上場廃止リスク)

時価総額が100億円以下の会社(機関投資家の目が届かない)

・その会社の製品を見に行けない、触れない会社(処理プラント建設など)

・自分が全く知らない・接点が一切ない会社

 

 などを考えてどんどん削っていった結果、6社にまで絞ることができました。

 

 さすがに70社も株を買うお金はありませんから、これくらい選択肢を絞り込んだ方が迷わずいいかもしれません。厳選していますから、どの株を買っても納得できます。

 

 

■せっかくなので厳選した会社を・・・

 厳選した会社を紹介します。

 

・9076:セイノーホールディングス西濃運輸

 

 企業間物流に強く、「トラック1台まではいらないけど大きな荷物を送りたい」というニーズに強い会社です。実は個人宅配もやっています。

カンガルーが目印です 出典:東京西濃運輸株式会社様

 (同業他社で「福山通運」もあります。株価が30万円を超えたため断念しましたが、同様に財務・安定性が良く、この株も機会があれば買いたいと狙っています)

(参考)福山通運の集配トラック 出典:福山通運公式twitter

 企業から企業への配達には不可欠の会社であり、この2社が仮に倒産したら「じゃあ誰が運ぶの?」となります。

 

 佐川急便やヤマトは、運べるキロ数に限りがあります(元々個人宅配の会社です)し、全国的な路線網を持つ運送会社は限られます。日本郵便もありますが、ドラム缶やパレットなどの大物貨物は受け付けてくれません。

 

 トラックをチャーターして、1台分すべて1か所に運ぶなら簡単です。

 

 しかし「宅急便の企業バージョン」(大きな貨物を全国各地に送りたい)(毎日集荷に来てほしい)というのは、配送ネットワークが完成していないと不可能です。

 

 そう考えると、他社に取って変わられることは当分ないと考えます。

www.seino.co.jp

 

・5440:共英製鋼

 建設用の棒鋼、いわゆる「鉄筋」で日本一のシェアを誇る会社です。

(子会社の関東スチール製)鉄筋の束の例 出典:BX西山鉄網様

 スクラップを溶かして新たな鋼材を作る「電炉メーカー」であり、2021年度には売り上げ日本一に輝いています。(2位は東京製鐵)

 

 海外展開に積極的な会社でもあります。

 

 建設需要や景気にかなり左右される業種のため、不況の時にコツコツ買えると旨味があります。また、一時的に赤字が出たとしても、潰れることはなかなか無いでしょう。

 

 市街地にビルやマンションを建てて、人がそこに集まる・・・という流れは止まらないからです。また、既存のビルやマンションの建て替え需要もあります。

 

 ビルを建てるなら木造というわけにはいかず、鉄筋コンクリート造になります。

 

 建設には当然、鉄筋が必要です。

 

 さらに、耐震基準は厳しくなる一方であり、必要となる鉄筋の本数は増えています。

建築基準法改正の歴史 出典:togetter様

 鉄鋼メーカーとしては自己資本比率も厚く(54.3%)、安定性も高いです。

 

 「鉄鋼に投資するなんて時代遅れ」と避ける人も多いですが・・・。

 

 他の人が注目していない今こそ、自分で調べて、チャンスがあれば株を買うのも一つの戦略だと考えます。

www.kyoeisteel.co.jp

 

・9303:住友倉庫

 倉庫大手3社の一角を占める会社で、静岡県の運送会社「遠州トラック」(9057)の親会社でもあります。会社名に「倉庫」とついているものの、倉庫業での営業収益は全体の12%ほどで、港湾・国際輸送・陸運・海運で収益のほとんどを稼いでいます。

 

 三井倉庫三菱倉庫も倉庫以外の事業は展開していますが、ここまで幅広くはありません。「倉庫の保管料以外でも稼げる」「財閥系企業である」という点も魅力です。

 

 また、私・シーラカンスは長距離トラック運転手時代、住友倉庫に荷下ろしに行ったことがあります。「仕事で行ったことがある」「構内に立ち入ったことがある」という事情から、他の倉庫会社よりも心理的に株を買いやすく感じます。

 

 パレットなどの資材も十分あり、倉庫も近代化されていました。

神戸の新倉庫 出典:Logistics Today様

www.sumitomo-soko.co.jp

・4619 日本特殊塗料

 自動車用の遮音材や遮音塗料が主力の塗料メーカーです。「塗料」と社名に入っていますが、実際には自動車関係の事業が6割以上を占めます。

 

 取引先を見る限り、国内の全ての自動車メーカーと取引があるようです。工場の位置関係も自動車会社と似ています。

 

 平塚(日産)、静岡(スズキ)、愛知(トヨタ)、広島(マツダ)・・・。

 

遮音材の紹介 出典:日本特殊塗料株式会社様

www.nttoryo.co.jp

 塗料事業部もあります。特に「防水」に強く、

 

・「建物屋上用の防水塗料」

・「学校のプール用の防水塗料」

・「工場の床用塗料」

 

 などといった特殊な用途の塗料が主力商品です。

 

 塗料メーカーは海外にもありますが・・・。

 

 塗料は重くかさばり、しかも多品種必要なため、輸入するメリットがあまりありません。(輸送費が高くついて価格メリットが無い)

 

 米国株で塗料メーカーの「シャーウィン・ウィリアムズ」や「PPGインダストリーズ」といった銘柄がありますが、同じ理由でアメリカ国内で存続できています。

 

 また国内塗料メーカーもそれぞれ主力商品は違います。ニッチな分野のため市場も小さく、他社が参入してもメリットは少ないのです。それほど大きくない会社であっても、ニッチで強い分野があれば生き残っていけるでしょう。

 

 

・8097:三愛オブリ

 石油とLPガスの卸売り大手の会社です。「キグナス石油」など、全国1030か所のガソリンスタンドを運営しています。また「三愛オブリガス」として一般向けのガス事業も展開しています。

www.san-ai-obbli.com

 特に強いのが「航空燃料」です。

 

 羽田空港での航空機への燃料補給を引き受け、1日当たり350機へ給油しています。

地下パイプラインから給油 出典:三愛オブリ株式会社様

 羽田空港以外にも、航空燃料取り扱い拠点が27か所あります。

 

 コロナで航空燃料事業は大打撃を受けたはずですが、過去5年間に赤字は1度もなく、石油やLPガス事業の安定性を感じます。

 

 家庭用のLPガスも、空港の給油設備も、簡単に他社に乗り換えることはできません。

よっぽどのことがない限り、契約は続いていくでしょう。

 

 また、自動車で走る限り、家でお風呂に入る限り、空港で飛行機を飛ばす限り、絶対に燃料は必要です。こうした需要を支える会社はつぶれにくいと考えています。

 

・9744 メイテックグループホールディングス

 技術者派遣会社であり、技術者の質・単価とも業界首位を誇ります。

メイテックのロゴ 出典:メイテック

 優秀なエンジニアやプログラマを企業に派遣することで収益を得ている会社であり、一般的にイメージする「工場に(とにかく頭数だけ揃えて)人を送り込んで上前をはねる」というビジネスモデルとはまた違う業態です。

 

 正直なところ技術的な点は私には分かりませんが、「人材派遣会社」としては珍しく健全な印象を感じました。

 

 私は「派遣社員」として工場で働いた経験がありますから、実は「派遣会社」というものにいい印象は持っていません。そのためリ〇ルートとかパ〇ナなどは投資を避けています。しかしこの会社は高度な人材を派遣してそれに見合った給料を支払い、配当も出しています。

 

 高額な工場設備などが必要ない業種なのも良いですね。

 

 これからの時代、働き方も多様化してきます。

 

 技術者派遣の会社、案外いいのかもしれません。

 

www.meitec.co.jp

 

■年に1回くらいは四季報を読みたい

 以上、私・シーラカンス四季報研究でした。

 

 買いたい株は人それぞれ、みんな違ってみんないい。

 

 今の時点で、先に挙げた6社を「いいかも」と感じましたが、今後さらに良い会社に出会えるかもしれません。

 

 年に1回くらいは、四季報を読んで探してみるのも良いですね。