こんにちは、シーラカンスです。
少し前まで、「米国株でFIRE」という話題が流行っていましたね。最近は少なくなりましたが、やはり人を惹きつけてやまない話題ですね。
FIREとは、Financial Independence, Retire Earlyの略です。日本語では「経済的独立と早期リタイア」となり、投資での配当金等で早期退職しても暮らしていける状態を意味する言葉です。
元々は米国企業で「お前はクビだ!」という意味でしたが、転じて、「こっちから辞めてやるわ!(配当金で生きていけるし)」という意味になったようです。
「会社を辞めて自由に暮らしたい」・・・わかります。よくわかります。
サラリーマンにとっての夢であり、希望です。
ただ、私、シーラカンスは思うところがあります。それについて書きます。
■そもそも辞めたい会社にいるのがおかしくない?
そもそも、なぜ今の会社を辞めたいと願うのでしょう?
・通勤時間が長い
・給料が安い
・人間関係が悪い
・身体や心を壊した
このあたりが多いでしょうか? このうち、「身体や心を壊した」という方。いますぐ逃げてください。バックレても別に命までは取られませんから。過労死や自殺に至る前に撤退して、態勢を立て直しましょう。
自分は世界に1人しかいません。社員の代わりはいくらでもいますが、自分自身の代わりは世界中のどこにもいないのです。
問題はそれ以外の方。それはFIREじゃないと解決しませんか? そもそも、そんな辛い職場で種銭を稼ぐために我慢するのは辛くありませんか?
個人的にはどうしても、「FIREの前に転職が先では?」と考えてしまいます。私は転職エージェントなどを勧めませんが、少しずつ調べてみるのもアリだと思います。あるいは、履歴書を実際に書いてみて、自分の技能の棚卸しをしてみるとか。それか社内で転勤か配置転換を願い出てみるとか。人間関係に悩んでいる場合、部署が変わると楽になる場合があります。
『となりの億万長者』によると、億万長者について、「自分にぴったりの職業を選んでいる」という記述があります。自分に合わない職場で無理をするより、より適した職場に乗り換える、という発想も良いと思います。
少なくともFIREに夢を見て、辛い現実を我慢するよりは建設的だと考えます。
■FIREに必要な株券と配当金ーーー無理じゃね?
私、シーラカンスが特に思うのがこれ。実際に自分の入金力と実際のプランを計算してみたら、かなり厳しかったのです。
そもそも私は投資に夢を見ていません。
SP500が年利6%とか8%といいますが、それは毎年毎年再現できるのでしょうか? いくら何でもちょっと楽天的すぎないか、と思ってしまうのです。確かにSP500のETFは素晴らしい。けど私は、どうしても控えめに予測してしまうのです。個人的には配当のみで年利2~3%とれれば御の字だと考えます。
ちょっと計算してみます。かなり辛めに計算します。
・投資期間中の複利、配当は一切計算に入れない。
・米国株配当にかかる税金は30%とする。
・入金金額は月5万×12か月=60万、ボーナス12万×2=24万、合計84万とする。
・(月平均7万とする)
・30歳から、60歳まで投資したとする。
年利3%で300万円を得たい場合。
・必要配当額:300万円÷0.7(米国株の場合、配当への税金は約30%)=428万円
・428万円を得るために必要な株券:428万円÷0.03(3%)=1億4266万円分
入金額から逆算してみた場合。
・年間投資84万×30年=購入できる株券は2520万円分。
・2520万円×0.03(配当3%)=75.6万円
・75.6万円×0.7(税金30%引かれる)=52.9万
・1か月あたり4.4万円
複利や株価上昇、配当金再投資を一切考えていない計算とはいえ、「無理じゃん」というのが正直な感想です。
個人的なイメージとして、60歳まで約30年間、年間84万円投資できたとして総額2520万円、年利3%で年間配当75.6万、税金で1/3くらい持っていかれて約53万円もらえるくらいかな、と考えています。1か月あたり4万円くらい助かる計算です。
定年後にかなり助かるのは事実ですが、人生を変えるほどではないでしょう。
■複利と配当再投資の力を
これではあんまりなので、同じ条件で複利がつく場合を計算しました。あくまでも参考値ですが・・・。
・元金:2360万円→複利込み元金:3300万円(税引き後)
(再投資した配当金:1321万、税引きで924万)
・3300万×0.03(配当3%)=99万円
・99万円×0.7(税金30%引かれる)=69.3万
・1か月あたり:5.77万円
さっきよりは増えたけど、これで配当生活・・・とはいかないのが分かります。
仮に資産価値が倍になったとしても、配当金で遊んで暮らすのは厳しいと思います。
■現実的な解
FIREが困難な以上は、仕事のほうをどうにかするしかないと思います。
「好きな仕事」「楽しい仕事」はないかもしれません。
でも、「そこまで嫌じゃない仕事」「多少は楽な仕事」ならあるかもしれません。
そこまで嫌じゃないと思える仕事を見つけて続けながら、株を楽しんで未来に思いを馳せるのが現実的な解じゃないかなと思います。
もちろん、先ほどの計算は極端に悲観的な例であり、実際には株価上昇や増配、入金力の向上などでかなり上向くとは思います。
■結局何が言いたいの?
「一部の声が大きい人によるFIREの誘惑」に惑わされてはいないか、ということです。
声が大きい人たちを、一歩引いた視点で、よく見てください。
・入金力がすごくないですか?
・別の事業で大きく稼いでいませんか?
・仮想通貨やテーマ株など、再現性のない投資で財を成していませんか?
・実は投資セミナーなどで生計を立てていませんか?
・「何かがおかしい」と違和感はありませんか?
・そもそもFIRE出来てるのに、やたらとメディアに露出したりして「労働」しているっておかしくないですか?
彼らにとっては実際にFIRE出来ているわけなので、「正しい」のは事実でしょう。しかし、「同じ方法で誰もがFIREできるかどうか」はまた別の問題です。
仕事が嫌だからと投資に夢を見るのはいいでしょう。でもだからといって、焦って自分の投資戦略を見失わないでほしいのです。
焦ってリスクの高い投資に手を出せば失敗します。失敗すれば種銭を損耗し、それこそFIREや自分年金づくり、資産形成・・・などといった当初の目標が遠のきます。
堅実な個別株や、SP500などの優良な投資商品を選んでいる限りは、そうそう変なことにはなりません。迷わず、堅実に、投資の王道を進んでいきましょう。私、シーラカンスも一緒に行きます。
あなたが投資する理由は、何でしたか?