こんにちは、シーラカンスです。
私・シーラカンスは毎月1回、給料が入るとすぐに株を買います。
私は16社に分散投資しており、給料日の時点で「最も構成比率の低い銘柄」を買い足すようにしています。たとえ、それ以外の保有銘柄で大きく株価を下げているものがあっても無視し、あくまでも「構成比率の低い銘柄」を買います。
これにより買う銘柄が自動的に決まり、迷うことがありません。
私の場合、「値下がりしてるから買う」のは「相場に判断を左右されている」と考えています。あくまでも
「自分のポートフォリオがどうなのか」
が基準であるからです。
「足りないから買い足す」、それだけのことです。
さて、先日の記事の中で
「不況のときにどれだけ株をかき集められるかが勝負」
と書きました。売買益を狙うにしても配当金を狙うにしても、不況のとき(誰も買いたがらない時)に買うといい・・・という一節ですね。
ただこれは「その時まで投資をしないで暴落を待つ」という意味ではありません。
今回は「高値掴みだとしてもあえて毎月株を買っている」という記事です。
■「暴落投資法」という手法がありますが
長期投資家の投資手法の一つとして、「暴落投資法」というものがあります。
これは、普段は貯金に励み、不況のときに安くなった株を買い漁る・・・という方法です。この手法で有名なのがウォーレン・バフェット氏ですね。
彼は株高で買える株がない場合は無理に株を買わず、現金のまま温存します。
そしてチャンスが来ると、安くなった優良な株を買い集める・・・という手法で成功しました。バフェット氏の成功は世界中で有名ですね。「長期投資の神様」であります。
また、日本の投資家ではさわかみ投信の澤上篤人社長などがこの手法の第一人者として有名ですね。彼もまた優秀なファンドマネージャーであり、長期投資のプロフェッショナルです。
ただ・・・。
彼らは私たちとは違って投資で生計を立てているプロであり、また経営者でもあります。
扱う金額も全く違いますし、何よりも度胸が違います。
そのため私はあえて「暴落を待つ」ということはしません。
「そこまでの豪胆さが自分にはない」と知っているからです。
■不況時の「心理的な負担」を忘れてはいけない
もし貯金が1000万円あったとして、今が不況のどん底だとします。
株価も最盛期の半額近くまで叩き落されて放置されているとします。
この時、あなたは貯金を全額株に突っ込めるでしょうか?
私には無理です。心理的に辛すぎます。
あまりにも負担が大きすぎるのです。
1000万円というと、私の年収3年分に匹敵する大金です。
これほどの大金を一気に躊躇なく株に使う度胸は私にはありません。
・株を買ったそばからさらに株価が下落する。
・月給以上の損失が1日で発生する(1000万円の株が5%下落したら50万円が溶けます)
・株を買った経験があまりないのに、一気に大金を投じるという無謀な作戦。
・株のさらなる下落と、「貯金のほとんどを株に使ってしまった」という不安。
・職場でリストラに遭う人が続出している。自分も危ないかも・・・?
・仕事量が薄くなり、自宅待機。給料が下がってしまった。
・子供の進学と重なる。株を買っている場合ではなくなった。
・解雇されてしまった。再就職に何か月もかかり、株を買う気力がない。
これらの困難を乗り越えて、それでも「暴落時だけ投資する」ことなど、本当に可能なのでしょうか・・・?
■不況の頃を忘れないで
コロナショックがあったとはいえ、今はまだそれほど景気は悪くありません。
ただ、私は言いたいのです。
「リーマンショックを思い出せ」と。
「あの不況を忘れるな」と。
自分の雇用や給料、心身の状況など。不況のときには生活の基盤から揺るがしてきます。また、人間というのは弱いものであり
「株を買うのは怖いからもう少し様子を見よう・・・」
と投資自体を先送りにし、結局投資できないかもしれません。たぶん、一生悔やむのでしょう。
「あの時買っていれば・・・」「もう少し勇気があったら・・・」と。
先日の記事でも書きましたが、私はリーマンショックの数年後に就職しました。
私の父は解雇されましたし、私自身も就職難に直面しました。
社会全体が暗く、安いものを良しとする風潮が強かったように思います。
リーマンショック当時、私はまだ学生でしたが
「不況になるとどうなるか」
は鮮明に覚えています。不況の波が「父の解雇」という形で自分たちの生活に直撃したからです。また、母がパートに出たのもこの頃からです。
私自身「商業高校卒業の新卒」という有利な立場にいながら、就職が全然決まりませんでした。数年前なら1~2社を学校推薦で受ければ採用されていたようですが、当時はそんな状況ではなかったのです。企業側が「人件費の増加」に恐怖心を抱いていたのです。
読者さんの多くは恐らく私よりも人生経験があり、社会人としてリーマンショックを経験された方が多いと思います。その当時、きっと様々な困難があったと思います。
色々考えると「不況のときだけ狙って投資」というのは「いい戦略」のように聞こえますが、
「実際に出来るのか?」
を考えると厳しいものがあると私は考えます。
■毎月買うのは「株を買う経験を積んでおくため」
私は、株が高かろうと安かろうと、株を毎月買います。
暴落を待たないのは「株を買う」という習慣を持つためです。
株をほとんど買ったことのない人がいきなり大金を投資することなどできません。
特に米国株やETFを買おうとする場合、
・「日本円をドルに替える」
・「ドルを銀行口座から証券口座に移動する」
・「証券会社の外国株ページで株を発注する」
・「配当金を確認する」
・「買う銘柄を決めておく」
などの独特の操作が必要となります。特に両替と資金の移動は多少癖があり、やり慣れている人でないと不安があります。
また投資期間を長期間(私の場合50年くらい)取れる場合、一時的な高値掴みも暴落による損失も「ノイズ」でしかありません。
30年、50年、100年・・・などの超長期チャートを書いたとしたら、ちょっとチャートの線が下に振れるだけのことであります。またそれほどの超長期で投資を考えると、経済成長と連動した上昇トレンドの線を描くでしょう。
どうせ資産は膨らみますし、一時的な損失は「時」が癒してくれます。
さらに、同じ1000万円だとしても、
「一気に1000万円を投じる」「一世一代の大勝負」
よりも
・「毎月の恒例行事」
・「毎月の給料で買えるだけの株を買う」
・「ボーナスが出たから株を買う」
・「結果的に1000万円分買ってた」
という方が心理的な負担は小さくて済みます。
暴落を狙う場合より確かにリターンは劣るでしょうが、その代わり「配当金が入ってくる」ためそれほどリターンは悪くはないでしょう。
また日々の生活の中で
・「株を保有している」
・「たまに配当金が入ってくる」
という状況が生活の一部になる・・・という経験自体が「貴重な財産」だと思います。
何事も「練習」しておかないと本番でチャンスを掴めないものです。
ゆえに「高値掴みは必要経費」と考え、毎月株を買い続けています。
■いいものはそうそう安くならないよ
私はコカ・コーラやP&Gなどの「米国優良株」を主力としています。
シャンプーや石鹸、菓子、タバコ、石油・・・不況のときでも人々が買わざるを得ないものを扱う会社を選んで投資しています。
不況でも売り上げが立ち、また事業そのものが手堅いため「ディフェンシブ銘柄」として人気があります。不況のときにこそ輝く銘柄たちです。
こういった株は不況でもなかなか株価が下がってくれません。
下がってもせいぜい半額になる程度であり、「全盛期の10分の1」などには下がってくれないのです。不況のときにこそ買われますから人気があり、ある程度の株価が付くのです。
「いいものは、高い」のです。
待っていたら永遠に買えません。
不況が来たとしても自分が望む株価まで下がるとは限らず、投資機会を失うことだってあるでしょう。
私はそれを「ものすごい損失」と考えます。
何年も待ち続けた挙句に結局株を買えないなら、「ただ貯金してるだけ」で終わってしまうからです。私なら、死ぬまで悔やみ続けるでしょう。一生の後悔です。
私は、「一生後悔する」というリスクを一番恐れています。
「高値掴み」してもいい。「大損害を負う」、それも構いません。
ただ、「後悔を残す」ということだけは恐れています。
タイムスリップは出来ませんから、取り返しがつかないからです。
株を買って含み損が出たという「やった後悔」よりも、株を買うべきチャンスをモノにできずに結局投資できなかったという
「やらなかった後悔」
の方が、私は辛いと考えます。
「株で損した」としても、配当金と複利、時間経過による株価回復が傷を癒してくれるでしょう。ただ、「株を買えなかった」については、やり直しがきかないのです。
「だったら傷の浅い、取り返しのつく方を選ぼうよ」と思うのです。
そのため私はリターンが劣るのを承知の上で、毎月株を買います。
私は機械ではなく「人間」であり、心を持っています。
心というのは、案外弱いものです。
投資リターンも大事ですが、「自分の心の負担」も考えに入れて投資を続けていきたいですね。
投資は一生続きますから。