こんにちは、シーラカンスです。
私、シーラカンスは髭を剃る時、シェーバーではなくT字カミソリを使います。毎日、シャワーを浴びるときに剃っています。
ところで、私は元々シックの替え刃式カミソリを使っていましたが、最近、ジレットの使い捨てT字カミソリに変えました。
私の場合ヒゲが薄いため、
「高性能な替え刃式を使うほどではない・・・」
と気づいたからです。剃り心地は確かに少々劣りますが、それでも「ヒゲを剃る」という仕事は果たしてくれます。ヒゲがあまり濃くない人の場合、使い捨てのものでも十分かもしれませんね。処分もしやすく衛生的ですし、安価です。
それに何より、替え刃が高すぎるのです。
ただヒゲを剃りたいだけなのに、何千円もかけていられないのです。
T字カミソリの替え刃って、何であんなに高いのでしょうね・・・。
先日ドラッグストアで確認したところ、ジレットの替え刃12枚入りが5500円くらいでした。肌への当たり心地はいいですが、結構な金額です。
amazonで大容量のものを買う場合、替え刃16個入りで6831円だそうです。ドラッグストアよりは単価が安くなるとはいえ、なかなかの金額ですね。
さて、今回はカミソリについて書こうと思います。
■カミソリの世界シェア
ジレットが世界シェアの47%を握り、世界一です。
あまり知られていませんが、製造元は洗濯洗剤やシャンプーでお馴染みの「プロクター&ギャンブル」・・・P&G【PG】です。
元々は「ザ・ジレット・カンパニー」という独立した米国企業でしたが、2005年にP&Gが、ジレット社を570億ドル(約6兆円)で買収しました。
余談ですが、電動歯ブラシやシェーバーで有名な「ブラウン」も、P&Gのブランドです。元々はドイツのメーカーですが、1984年からジレットの完全子会社となりました。
親会社であったジレットが買収されたため、現在はP&Gの子会社となっています。
「キレテナーイ!」のCMで有名なシックは世界シェアの20%ほどを占め、世界2位です。両社ともアメリカの企業であります。
ただし、日本に限ってはシェアが逆転します。
シックジャパンによると、国内シェアの49%を占めているそうです。
これは、強大なブランド力を持つ「ジレット」に勝てないと考えたシックが、シェービングフォームなどの
「肌を保護する」
方向に力を入れたため、外国人に比べて肌の弱い日本人に支持されたため・・・と言われています。(諸説あります)
■カミソリメーカーの株・・・いくらくらい?
ジレットの製造元はP&G【PG】であり、2023年1月3日時点で$152です。日本円では
約19800円となります。($1=¥130とします)
シックの製造元(親会社)は「エナジャイザー」という会社です。
乾電池やライト類を製造する会社であり、乾電池の世界シェアの30%を占め、世界一を誇ります。
上場もしており、ティッカーは【ENR】です。私、シーラカンスは、カミソリについて調べるまで、この会社を知りませんでした。
ENR(エナジャイザー)の株価は$34、日本円では4400円くらいです。
この会社について調べてみても、投資ブログなどの情報が全然出てきません。また2022年度に赤字になっていること、配当に不安がある(2013年・2014年は無配&2019年から1.2ドルで据え置き)であることから、投資するならP&G【PG】をおすすめします。
■替え刃商法・・・顧客を逃がさない
「カミソリ本体と替え刃2個~4個入り」という、いわゆるスターターパックは割と安価に買えますが、替え刃は結構高額なものです。
他社製品と接続部分の互換性がないから、多少高くても替え刃を買うしかない。こういった戦略を
「替え刃商法」
というそうです。
「独自規格で顧客を囲い込み、繰り返し買ってもらおう・・・」
というビジネスモデルです。プリンターとインクカートリッジの「インク商法」と考え方は同じです。
独占禁止法、互換インク関係の訴訟で、かなり揉めているようです。
最近ではエプソンを中心に「エコタンク」(本体が高額でインクが安い)のものが出ています。ある意味健全なビジネスかもしれません。訴訟リスクも軽減できます。
消費者としては迷惑な手法ですが、投資家としては「美味しい商売」に映ります。
「ヒゲを剃りたければ替え刃を買うしかない」からです。
ヒゲは意外と強度があり、
「同じ太さの銅線と同じくらいの強度」
だそうです。
そんな硬いものを剃る以上、刃は痛んできます。
そのまま使い続けると皮膚を痛めて「カミソリ負け」を起こしますから、刃を変える必要があります。替え刃を買うしかありません。
ジレットの替え刃が高いからと言ってシックに乗り換えたとしても、今度はシックの替え刃を繰り返し買うことになります。両社とも品質はいいですが、結構高いです。
じゃあ貝印は?・・・多少安いですが、結局は貝印の替え刃を買い続けることになります。どのメーカーを選んだとしても、そのメーカーの替え刃を買うしかないのです。
それも嫌なら昔ながらのナイフ式のカミソリで剃るか、クラシカルな「両刃カミソリ」で丁寧に剃るしかありません。
「両刃カミソリ」「クラシックシェービング」で調べると、ヒゲ剃りを「趣味」の領域まで高めた人たちの記事が多く出てきます。
読んでみると、「替え刃商法にうんざりした」ために始めてみたらハマった・・・という人も結構いました。
好きな人はとことんハマる「クラシックシェービング」の世界です。
「気軽にヒゲ剃り」という感じではありませんが、非常にカッコいいですし、雰囲気も良いので「新たな趣味」として始めるのもいいかもしれません。
逆から言えば、「気軽にヒゲを剃りたい」という場合、「替え刃商法」から逃れることは出来ない・・・ということです。
・クラシックシェービングをマスターするか
・替え刃を買うか
・使い捨てカミソリを選ぶか
の3択となります。
■慣れたものを繰り返し買いがち
たいていの人は、一度気に入ったメーカーの同じ製品を買い続けます。ひげ剃りの研究をしている人であれば色々買うのでしょうが、一般の人はシックならシック、ジレットならジレットを使い続けます。
・「乗り換えるのがめんどくさい」
・「別に不満もないし、高いけど、同じのでいいや」
という心理も働きます。メーカーを変えるとホルダー(持ち手)も買い直すことになります。また、
・今のカミソリに満足しているし・・・。
・変えたカミソリが自分に合わなかったら嫌だな・・・。
とかいろいろ考えると、「めんどくさいから同じのでいいや」となりがちです。
メーカーからすると、非常に美味しい話であります。
・替え刃は使っていくうちに傷みますから、定期的に買い替えてくれます。
・「高いな・・・」と不満に思いつつも、買ってくれます。
・「替え刃を買う」以外に選択肢がないからです。剃らないわけにもいきません。
・「ヒゲを伸ばす」としても、整えるのにカミソリは必要です。
・他社と互換性がないため、囲い込みができます。
■たとえ「戦時中」でも「不況」でもニーズは変わらない
当たり前ではありますが、ヒゲというものは毎日伸び続けていきます。
不況であろうが、戦時中であろうが、ヒゲは伸びるものです。
どんな状況であっても、カミソリと替え刃は求められるのです。
たとえ戦争をしている国であっても、「ヒゲを剃りたい」というニーズは変わりません。
どの国の軍であっても。陸軍でも海軍でも空軍でも、です。
第二次世界大戦下のドイツ軍の場合では、ナイフ型のカミソリとT字カミソリの両方が使われていたようです。
■男女問わず売れ続けます
また、カミソリが必要なのは男性だけではありません。
女性も、「美容用」のカミソリを買い求めてくれるのです。
ドラッグストアのカミソリ売り場に行けば、女性用の華やかなパッケージのカミソリを見ることができます。男性だとあまり意識しないかもしれませんが・・・。
実は意外と、売り場面積は広いのです。
老若男女問わず、ニーズがあるのです。
男性のヒゲが伸び続ける限り。
女性が「美しくありたい」とムダ毛を処理する限り。
カミソリと替え刃は、売れ続けるのです。そこに「景気」は関係ないのです。
非常に手堅い、安定したビジネスだと思います。
■文句を言うだけか、仕組みに乗っかるか
消費者からしたら「卑劣な商売」「独占禁止法スレスレ」に感じますが、それに不満を言っても変わらないでしょう。
メーカーからすれば、
・「多少高価でも、品質のいいカミソリを出荷している」
・「ルール(法律)の枠内でビジネスを戦っている」
のであり、文句を言われる筋合いはない・・・と考えているからです。
営利企業ですから、利潤を追求するのは当然のことです。
「改心しました、替え刃を安く売ります」・・・なんて、無いのです。
それなら、カミソリを製造する会社の株を買って、「安定して儲かる会社から利益を吸い取ってやろう」と行動するほうが建設的です。
「文句を言うだけ」か、「そのシステムに乗っかってやろう」と思うか。
私なら、後者を選びます。だから、PG(P&G)の株を保有しています。
製品も経営も手堅い企業ですし、今後数十年の間に人々が
・髭剃りをしなくなる
・洗濯をしなくなる
・シャンプーや石鹼を使わなくなる
ことは考えにくいでしょう。世界の人口も増え続けていますから、P&Gの製品を買う人も増えていくでしょう。「面白味のある銘柄」「夢のある銘柄」とは言えませんが、長期投資を考えている人にはオススメです。