株式は船、「何もしない」もまたリスク

 こんにちは、シーラカンスです。

 

 日経平均株価がいつの間にか4万5000円を超えていました。長期チャートで見るとものすごい上昇です。

 

 ただ私・シーラカンスは「いつの間にか」と書いたように、日経平均株価は全然チェックしていません。また、自分の持ち株の株価も毎日見ることはしません。「ほったらかし」と言ってもいいかもしれません。

 

 投資家としてそれはどうなの? と思わなくもないですが、それよりも

 

 「え、何? 毎日チェックしたら利益が上がるの?」

 

  と思ってしまうのです。

 

 私が日経平均ドル円チャート、持ち株の株価を血眼になってチェックしたところで利益が上がるわけでもありませんし、むしろ「狼狽売り」に走ってしまうかもしれません。そうすれば受け取れる配当金も削れてしまいます。

 

 それより何より「株価は上下して当たり前」という認識が私の中にあるため、「毎日株価をチェックしよう」と思えないのです。

 

 今回は「株価の上下」についてお伝えします。

 

■「株式市場は海上生活」

 前回に続き、邱永漢先生の著作からの引用を紹介します。

 

・「多くの人々の財産が土地や定期預金を離れて株式市場に移るとなると、地上生活から海上生活に変わったようなものだから、陸上を走っているような安定感は失われる。株式市場は毎日揺れる。揺れながら魚を獲る生活に変わる」

 

・「もともと日本人は海洋民族だから、船の揺れくらい何でもないだろう。波に揺られながら潮の流れにうまく乗れる人が次の時代をスマートに生きられるのである」

 (邱永漢・著 『デフレに強い知的金銭生活』より引用)

 

 私・シーラカンスの投資手法(配当狙いの長期投資)は「農耕民族的」とも言えますが、「上下に激しく揺れる株券の状態で資産を運用している」という点で「株券は船のようなもの」という考え方も出来ます。

 

 「株式は船」。ジュディ・オング構文ですね。

〇〇は〇〇、と言えばジュディオングさん 出典:Twitter

言わんとすることは分かる・・・出典:Twitter

(「日本人は、サカナです」・・・おそらく「日本人は古来から魚を食べてきました、当社の新鮮な魚をお召し上がりください」というニュアンスなんでしょうが、これで言いたいことが何となくでも伝わるのってすごい)

 

 船舶である以上、上下に揺れるのは当然です。

 

 時には時化(しけ)や嵐もあるでしょう。無風の「凪」の時もあるでしょう。

 

 嵐に巻き込まれ、海の藻屑に消えることもあるでしょう。

 

 獲れた魚を満載し、大勢の人に出迎えられて母港に帰還する船もあるでしょう。

非常に縁起がいい・・・出典:全日本写真連盟



 株を船に例えるのは、なかなか的を射ているなと感じます。

 

 「大きく揺れ動く」「それでも突き進んでいく」のが普通の状態なのですから、何も怖がることはありません。だってそういうものだから。

 

 揺れが怖いのは単に「慣れてないだけ」なのかもしれません。

 

 そのうち気にならなくなります。

 

■「何もしない」もまたリスク

 ところで、「リスク」というと「危険性」という印象がありますが、実際には「変化の度合い」「値動きの大きさ」というのが正しい意味となります。

 

 超大型株は安定していて倒産しにくいものの、株価の上下はあまりありません。基本的には3%前後の配当金を長期にわたって狙うやり方になります。

 

 逆に新興株や小型株は財務脆弱で倒産の危険も大きいものの、新技術などの「材料」がひとたび出れば、株価は一気に噴き上げます。配当金が出ない会社が多いため(成長のために資産を振り向ける&そもそも赤字で配当できない)、売却益を狙うことになります。

 

 大型株は儲からない。小型株は紙くずになる可能性がある。

 

 この辺のバランス感覚は投資家それぞれです。運用の考え方にもよります。

 

 「東証はカジノ」と考えてギャンブルに走る人もいますし、一方で「年金づくり」として債券のように安定した株ばかりを集める人もいます。

 

 投資信託ETFのように「おまかせパック」を頼むのもいいでしょう。

 

 

 

 さて、株に限らずこの世は「等価交換」・「何かを得たいなら何かを差し出せ」という原則で動いています。

等価交換の原則 出典:鋼の錬金術師より

 

・「爆発的に儲けたいなら資金がパーになるリスクを負え」

・「安定がほしいなら少ない利益で我慢しろ」

 

 ということですね。現実は厳しいものです。

 

 ただ今の世の中「株は怖い」と株式投資自体のリスクを嫌って定期預金だけに頼るのは、それもまた「リスク」であります。インフレと物価高騰で価値がどんどん目減りしているからです。

 

 はっきり言って、「投資をしない」ということは「逃げ」と言ってもいいでしょう。

 

 

 

 投資のリスクから逃げ、勉強から逃げ、資産が目減りして。

 

 それで「国が悪い」「世の中が悪い」って・・・。

 

 「いや、悪いのはあなたでしょ? 備えを怠ったのは自分でしょ?」としか。

 

 「やり方が分からない」・・・? その手に持ってる板は何のためにあるんだ?

 

 「お金が無い」・・・? 投信なら100円からできるよやってみな。

 

 「銘柄が分からない」・・・? SP500っていう「幕の内弁当」があるよ。

 

 「大損したら怖い」・・・? それは「特売」。むしろチャンス。あとで助かるよ。

 

 今、投資をするには最も良い時代だと思います。

 

■将来の自分を救えるのは今の自分

 再び邱永漢先生の引用です。

 

・「私は若い時に、自分が歳をとって働けなくなったら定期収入があるように対策を取っておく必要があると考えた。」

 

・「そのためにお金を現金のまま銀行に預けておくとか、国債とか社債などの元本の保証された金融商品に投資することは一切眼中になかった」

 

・「夢を見る人は多くても夢を実現できる人は少ないから、その他大勢の人は地道にコツコツと生きるほかない。」

 

・「となると、わずかな収入しかなくても、その中からお金を貯め込んで、そのストックに働いてもらう道を拓かなければならなくなる」

 

・「配当金や金利のことを不労所得と呼ぶのは『労働力の代償ではない』というだけのことで、本当はさんざ知恵を絞ったり汗水たらしてやっと手に入れるものだから、不労どころか『過労所得』とでも言った方が真相に近いだろう」

 

・「ストックは貯め込まれたものであるから、最初からあるものではない。流れの中から使い切れないで残ったか、使わないで意識的に残したか、とにかくフローが無ければストックは生まれない」

邱永漢・著 「デフレに強い知的金銭生活」より引用)

 

 この本は25年前に書かれた本ですが、今の状況を見通したような記述ですね。文体は古いものの、内容は今でも通用します。

 

 新社会人の時にこの本に出会って備えた人は、今では「金融資産のある50代」になっているでしょう。リーマンショックなどがあったものの、それでも投資を止めずに続けていればかなりの資産になったと思います。

 

■税金の勉強は自分を守ります

・「サラリー以外の収入があるようになると俄然、税制の荒波の中に巻き込まれて目が冴えてくるのである」

 

・「もともと日本人は砲弾をものともせずに突撃をしてきた国民なのだから、税金の雨あられくらいは天然現象くらいに思って前進するだけの勇気には恵まれているのである」

邱永漢・著 『賢者は中金持ちを目指す』より引用)

 

 私・シーラカンス株式投資を始めたのと同時くらいに「ふるさと納税」を始めました。当時は派遣社員でしたから「いつクビになるか分からない」という不安感が強く、税金を払えるうちに払ってしまおうという意識から始めました。

 

 これもまた一種の「リスクヘッジ」です。

 

 (ちなみに税金は自己破産しても免責されません。どこまでも追ってきます)

 

 また株式の場合売買益や配当に約21%の税金がかかります。また米国株の場合だと米国分でさらに10%課税されます。

 

 ただ現在は「新NISA」があるため、最大1800万円分を非課税で運用できます。個別株の場合1200万円までです。

新NISAの概要 出典:ダイヤモンド・ザイ様



 年利3%の国内株であれば年間配当は36万円。本来なら約7万円ほど税金が引かれて手残りが29万円前後になりますが、新NISAの枠内であれば36万円が丸々残ります。7万円あれば安めの国内株、大抵の米国株が買えますね。資産形成の大きな助けになります。

 

 裏を返せばこの増税ばかりの国でそんな優遇制度が設定されたということは、

 

・「国では面倒見切れないから自分で貯めて」

・「年金? 大幅に減らすよ」

・「減税したのに制度を使わなかった自分が悪いじゃん」

・「生活保護? 国民保険? 廃止するよ国家予算もうないもん」

 

 というメッセージなのかもしれません。やはり、自分を守るためにも税金とお金の勉強は大事ですね。