こんにちは、シーラカンスです。
「宝くじで大当たりすると不幸になる」という話を聞いたこと、ありませんか?
これは、その人が持ち慣れない、扱い方が分からないほどの大金を一瞬で手に入れてしまったことで金銭感覚や人間関係が狂い、最終的に破産などに追い込まれる・・・という、ある種「お決まりの」話ですね。
要は、その人にはそれだけのお金が扱いきれなかった。
その人の「お金の器」に対し、金額が大きすぎたために、あふれてしまったのです。
株の世界でも、似たような話を聞くことがあります。一発当てたはいいけれど、生活水準を落とせなくなって、また投資に失敗して、消えていった・・・。
今回は、「お金の器」についてです。
■時間をかけるしかない
結論から言えば、
「毎月コツコツ投資して、扱い金額を増やして慣れるしかない」
ということになります。また、自分の中の意識や思想をアップデートするためには、日々の積み重ねや勉強が必要になります。とにかく、時間をかけて身に着けるしかないのです。
まれに「全力で投資して、資産が半分になっても動じない」レベルの豪胆な人がいるでしょうが、ほとんどの人は「大金が入ったし・・・ちょっとくらい贅沢してもいいよね」とか、「投資して、10%も損してしまった! どうしよう!!」などと、株価に振り回される・・・。そんな感じでしょう。
投資家としての思想、「お金の器」を身に着けるためには、毎月投資を続けて、少しずつ総資産(扱える金額)を増やしつつ、「損した、得した」という変動の波に慣れていくことが一番有効です。慣れていくうちに
「増えた、減った、それがどうした」
という境地に達することができます。
また、損が出ているときに株を売ってしまうと、損失が確定してしまいますから、「損を気にしない」、「損をやり過ごす」ことも必要です。これは、
・配当を受け取るという体験をすること
・「損しているときに売ったら損する」という当然のことに気づくこと
・長期投資の良書を読んで知識を付けること
が有効です。
■「器」の穴をふさぐ
お金の器を大きくし、資産を築きたいなら、毎月コツコツ投資する必要があります。
ただ、投資をするには、「元手」が必要です。いわゆる、「株を買うお金」です。
基本的に、お金というのはシンプルなものです。
・使ったら、減ります。
・使わずに済めば、残ります。
・貯めれば、貯金が増えます。
・投資すれば、減るかもしれないけど、増えるかもしれません。
・投資をすると、「配当」でお金が増えることがあります。
世の中には「長財布にするとお金持ちになる」などの迷信やゲン担ぎ、オカルトめいた法則などが多くありますが・・・。
基本的には「使ったら減る」という一点が分かっていれば十分です。
「お金は使ったら減る」
・・・これが理解できるかどうかで、人生が変わります。
じゃあどうしたらお金をあまり使わずに済むか?・・・「節約」です。
「使わない電気は消す」などのテクニックはよくありますが、正直、あまり効果はありません。
それよりも「コンビニでの無駄遣い」を1回避けたほうがよほど効果的です。
また、固定費の削減も大きな効果があります。
金額が大きく、また効果がずっと続くからです。具体的には、サブスクサービス、新聞、雑誌の定期購読、クレジットカードの年会費、保険料などを見直してみたいものです。
これだけでも、それなりの金額が浮きます。人によっては万単位かもしれません。
「節約」で得た利益には、税金が一切かかりません。ぜひとも、自分の工夫と努力で浮かせたお金を、投資に回していきましょう。
■「自分だけのポートフォリオ」を決めよう
お金の預け先は、銀行口座だけではありません。株を買いましょう。
株は1社だけではいけません。
最低8社、出来れば20社くらいに分けて保有したいものです。
面倒な場合、米国の大企業500社に投資できる「SP500」という便利なETF(上場投資信託)があります。日本では「積み立てNISA」などの税制優遇制度の下で買うことができます。投資に時間をかけられない場合におすすめです。
個別株で資産形成をする場合、長期投資に値するのは米国株だけだと思います。
米国株のなかでも、配当金を25年以上増やしながら出している(=連続増配)銘柄のことを「配当貴族」と言います。
連続増配50年以上を誇る銘柄のことを「配当王」と呼びます。
基本的に、「配当王」・「配当貴族」から選べば大失敗はしません。
特定の業界に偏らないよう、選んでいきましょう。
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個人的には、食品・飲料・日用品・製薬の会社が手堅く、おすすめです。
人間、自分のリスク許容度を高く見積もりがちです。オレオレ詐欺で騙されるのも、「私だけは大丈夫」と思っていた人が多いといいます。
自分を過信せず、安心安全を取りましょう。
■自分の仕事も「ポートフォリオ」の一部
特に、自動車関係、サービス業、製造業などの「景気によって業績が左右される」業種でお勤めの方は、
「自分と同じ・近い業種」
への過度の投資は避けましょう。
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不況のときに共倒れになってしまうからです。
「自分の雇用も危ない」と、「株の評価額がかなり下がる」のダブルパンチを避けたいのです。
自分の仕事もポートフォリオの一部と考え、より保守的なポートフォリオをデザインしましょう。
■株を買ってからも本を読む
株を買い始めてからも、勉強は続きます。
勉強というよりは、「安心するため」「自分は正しい投資をしている」と再認識するために、長期投資の良書を読むことをおすすめします。自分の中の知識がきちんとしていれば、暴落時にも慌てずに済みます。
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「暴落時に売ってしまう」という、最悪の事態だけは避けられるのです。
身近に長期投資家がいなくても、外国の優れた長期投資家の本が翻訳され、日本語で読むことができます。よく考えるとすごいことです。
投資の本は玉石混交ですが、何十冊と読んでいくと、「確かにそうだ!」とか「んな訳あるか!!」とかいろいろと分かってきます。
投資では、「絶対もうかる」とか「楽に資産形成」などはあり得ません。
もしあったら、財務省が既にやってます。
良い本であればあるほど、「当たり前」のことしか書いていないものです。
そして、同じような記述がいろいろな本に登場すると思います。
これは別に「パクっている」訳ではないのです。
「それが本質だから」書いているのです。
■「当たり前」が出来ていないのに儲かるわけない
逆に言えば、
「そんな当たり前のこともしないようでは、お金持ちにはなれない」
ということでもあります。
厳しいようですが、現実です。
それが嫌なら短期売買やレバレッジに転向したほうがいいでしょう。
ただ、短期売買やレバレッジに取り組む人は、彼らなりの苦労があります。
チャートを見て、為替を見て、経済情勢を精査して、市場の歪みを見つけて、リスクを全力で取って・・・。不安で眠れない日もあったり・・・。
それでも、相場に挑んでいくのです。壮絶な覚悟です。
トレードに自分の持てる力のすべてをかけているのです。
結局、苦労の種類が違うだけであって、楽な道など無いのです。
近道はありません。急いでも、ずっこけるだけです。
楽ではありません。何十年もかかります。人生をかけて取り組む覚悟、ありますか。
あまり楽しくありません。「ギャンブル」じゃないんだから当然です。
ドキドキしたいなら、投機に移行すべきです。すべてを失うかもしれませんが。
あるいはパチンコかスロット。FX。仮想通貨。
短期で儲かりたい、ドキドキしたい人には適さない投資法です。
■「投資経験・投資思考」は「無形資産」です
一方で、「コツコツやっていきたい」「ドキドキしたくない」という人にはぴったりだと思います。
資産も毎月の入金で増やしていきますから、少しずつ大きなお金を運用することに慣れていくことができます。
年間100万円入金して10年間取り組めば、元手は1000万円、配当や株価上昇も入れれば1200万円くらいに成長するかもしれません。
そのころには「1000万円を運用する」ことが日常となるでしょう。
時間をかけて資産を作ったのですから、安定感が抜群です。
不況や金融ショックもくぐり抜け、修羅場も経験したでしょう。
資産を売り払わず、10年も運用していれば、立派な「長期投資家」です。
「長期的な視点」、「長期投資家としての思想」、「自分なりの哲学」も出来上がっているでしょう。
これらは、短期での投機では得ることのできない「無形資産」です。
「不動産投資家」「大家さん」に近い境地かもしれません。
■すべては「時間」が「お金の器」を作ってくれる
「お金の器」を大きくするには、
・実際に自分でやること。
・時間をかけて投資すること。
・いい本を多く読むこと。
・ドキドキするような投資をしないこと。
・売り払わず、ただただ買い集めること。
焦らず、時間をかけていくしかありません。
ゆっくり、時間をかけましょう。